Short Story

三分間の恋




 彼女に熱湯をかける。彼女は何の反応も示さないが、それでよかった。僕は彼女の体が浸るほど熱湯をかけ終わると、蓋をして、彼女を閉じ込める。後は三分待つだけだ。
 嗚呼、僕はこれから彼女を食らうが、それは愛ゆえに、だ。僕は何よりも彼女を愛している。もうすぐ時間だ。ふやけた彼女を食らう時間だ。箸を持ち、両手を合わせる。

「いただきます」

 蓋を開けると、美味しそうな彼女の香りが、僕の胸を満たした。